視聴環境

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 というわけで、個人的に「映画を観た」と思える視聴環境の最低条件を挙げるとすれば、それはスクリーンに投射した映像であることです。
 これが最低限の条件でして、例えばテレビ画面で観た映画は「映画を観た」とは思えません。もちろん、あくまで個人的な感覚ですよ。

 プロジェクターと言えば、昔は仕事柄OHP原稿を使用して映す、学校や教習所でよく見ていたオーバーヘッドプロジェクタでした。
 もっと上等の「実物プロジェクター」と言って原理的にはOHPのプロジェクターとあまり変わりませんが反射を利用したカラーで実物が投影できるという機械もありまして、この二つを83年頃から仕事で使ってたんです。

 映画を映すプロジェクターはというと、当時雨後の竹の子のようにたくさん生えていたカフェバーなるお店に設置してある三管方式のプロジェクターがメインでありました。
 調整が難しい上にでかくて高価、ぼんやりした画質の大袈裟な機械でしたが、ビデオ市場が広がりつつあったこともありカフェバーには必ず設置してありました。

 80年代も後半になるといよいよビデオ市場は活気を見せ、いろんなタイプの映画がビデオ化されていました。現在のDVD化なんてまだまだ過渡期と思えるほどの充実したラインナップで、このビデオラインナップと、当時よく出演してお世話になっていた元サーカスサーカスであるところのCBGBというライブハウスに設置されたプロジェクターの二つの要素が加わり、それまで経験していない新しい映画ライフを堪能できたものです。
 広く公開される映画は街の映画館で、ややマイナーな映画は名画座や特殊な映画館で、さらにドマイナーなアングラ映画は西部講堂で、古い映画や輸入物しかないようなものはCBGBで観たりまたはビデオを借りたりと、まあなんて幸せな映画ライフだったこと。

 今から思えば80年代というのは昔なのでして、いつの頃からかコンピュータが普及し出し、ビジネスマンがコンピュータに接続して使う液晶プロジェクターなるビジネスマングッズが登場して普及し、しかもそれから何年も経つ頃にはいよいよレンタル機器として手の届くところに液晶プロジェクターがやってきました。
 最初はイベントで使うためにレンタルしたんです。
 レンタルしたついでにビデオに繋いで家でプロジェクター上映を初めて行ったときにはほんと大興奮。
 ビデオの画質やプロジェクターの画質など些細な問題は気にもならず、ただただ自宅で大画面に投影する状況に痺れ狂いました。
「いよいよ21世紀が始まる!」と大興奮です。21世紀になれば、このプロジェクターが安く買えてしまうような世の中になるに違いない。ビデオテープがDVDに切り替わっているに違いない。
 こと映画に関してはバラ色の未来が待っているように感じたものです。
 そして21世紀がやってきて、本当に業務用プロジェクターのお下がりが格安で買えるようになりました。同時に、家庭用プロジェクターという家電ジャンルも起ち上がりました。家庭用のは当初かなりお粗末な物でしたが。

 長々と何を言っているのかというと、贅沢しなくても大画面に投影することさえできれば他のことが気にならない個人的性質をわかってもらおうとしてのことであります。
 つまり、プロジェクターでありさえすればオンボロプロジェクターでもOKなわけです。
 世の中のAVマニアという人たちは、大きなこだわりと大きな出費を心がけておられます。
 バラ色の21世紀は、ふたを開けてみると戦争と社会不安の世紀でした。
 我々としても、とても映画視聴環境に大金を投じるようなお目出度い暮らしは成り立ちません。AVマニアにはなれないのであります。

 我が家で初めて買ったプロジェクターはビジネス機器の中古のお下がり。その後数年見続けて液晶がへたってきた頃に友人経由でもらってきたこれまたビジネス機器のお下がりがその次の機器、という常に3世代ほど型遅れのプロジェクター人生です。
 スクリーンは仕事で使うロールの大きなキャンバスがあったのでそれで代用。汚れてきたら白に近いグレーを塗って復活させます。インチでいうと110インチほどですかね。音は昔からあるアンプに繋げて普通にステレオのサウンドです。
 2007年に中古住宅を手に入れて改造した時には、ついに映画専用の窓のない暗闇部屋を構築、昼間でも映画が観れるようになりました。
 きわめつけは安いながらも最高の座り心地を与えてくれたリラックス椅子を購入したこと。この椅子の恩恵も大きいです。椅子が普通の椅子だった頃は、映画を観るのに多少の覚悟が要りました。疲れるからです。しかしリラックス椅子のおかげで、映画を観なくてもいいから映画部屋でリラックス椅子に座りたいとまで思うようになりました。
 今では2時間程度の時間さえあればいそいそと映画を観に行く始末です。

 さて、もちろん絵の綺麗なプロジェクターは欲しいです。今のプロジェクターは広い教室向けのでかい機器なので明るすぎてレンズに減光フィルターを重ね貼りしているほどで、映画視聴にぴったりな高画質プロジェクターと高品質スクリーンは一応ほしいほしいリストに入っています。でもなかなか実現できるもんじゃありません。ほしいほしいリストの上位には他の色んなものがびっしり書き連ねてあるからですね。とほほ。
 そういえばテレビ番組というものを見ていません。以前は見ていたんですが、テレビのチューナー部分が壊れて映らなくなった頃から「別に無理して見なくていいか」と見なくなりました。ビデオデッキ経由で番組は映りますが線をつなぎ替えるのが面倒なのと、ビデオ機器に電源を入れることもなくなりましたから自然と見なくなるんですね。
 今はまあそんな感じでテレビはWii専用モニタです。しかしテレビを見る習慣がなくなると同時にゲーム稼働もがくんと減りましたが。

 噂では近々地デジなるものに切り替わって古い設備ではテレビ番組が映らなくなるらしいので、いずれにせよテレビは見なくなる宿命だったんですね。
 テレビをだらだら見ている時間があれば映画を観るという暮らしでございます。

 というわけで視聴環境についての完全に個人的なお話、まさに独り言でした。

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この項、映画とはの続きの映画原体験の続きでありました。

“視聴環境” への2件の返信

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