始まりと終わり

バンマス代理が綴るチルドレンクーデター、始まりと終わり。現状、連載6回目まであります。

始まりと終わり その1

最初のその前、後のチルドレンクーデターバンマスのホソイはエキストラプラスチックオブジェというロックマガジン系のユニットに参加していた。当初はバンドなどやるつもりは全くなくもっぱらイラストを描いたり芸術に勤しんだりという別の関りを維持していた。

しかしあるとき多少楽器ができるというので勝野タカシに誘われオールナイトのイベントに出ることになった。山盛りの客、ゲルニカとの共演、ゲスト待遇という気持ちの良い要素が目白押しで、若造であったホソイはすっかりその気になってしまい、それ以降音楽活動にのめり込んだ。

しかしすぐにエキストラプラスチックオブジェに飽きてきた。当時は暴力的で狂気じみたものやミニマル、現代音楽などのインテリ系、それにフリージャズといったあたりの音楽に夢中だったのでどうしてもそれらを混ぜあわせたような音楽がやりたかったというのは表向きの理由で、実際はもっと自分の思うようにやりたかっただけである。

で、今で言う鰐好悟郎とのDuoでミニマル音楽のライブをやったのがきっかけでチルドレンクーデターを始める事となった。この年1982年。このバンド名は鰐好悟郎の命名でバンマスも始めは彼だった。最初のライブでやった曲は「北欧のよりどころ」ただ一曲。これを延々と演奏した。客はほとんどいなかった。
その後、ジャズドラムの浅井を加えてトリオでやろうという話になり、ついでにエキストラプラスチックオブジェから、ケイトブッシュのイメージを持つ変態ピアニストのまーぶぅ、縮れたトムコーラ風バイオリンのK子、ファンクドラムの前淵を引き抜き、ホソイベース、悟郎サックス、浅井パーカッションの6人連れバンドとなってしまった。京都のDee-Beesって店でのライブをこのメンバーでやったのが1983年の正月。

エキストラプラスチックオブジェから主なメンバーを引き抜いて出し抜いた酷い話であるが当時は何の自覚もない。勝野タカシは後にチルドレンクーデターに参加し、一時期の主要メンバーとなった。

さて結成間もなく「夜想」「イオス」のペヨトル工房が、カセットと小冊子がいっしょになったカセットブックなるものを企画して話題となった。

そもそもの発端はEP-4の佐藤薫とペヨトル工房の今野氏による企てによって実現したこの書店流通の音楽革命、「制服・肉体・複製」は大きな話題となり、次作坂本龍一の「AVEC PIANO」へと続き、さらにその次の作品としてオーストラリアのオルタネイティブバンドと謎の楽団チルドレンクーデターが発売された。その後は博多のロックバンドのオムニバスが発売された。

「制服・肉体・複製」は大いなる話題を集め、「Avec Piano」は大売れに売れてメジャーからCDで再発となり、博多ロックのオムニバス「めんたいロック」も受けて、その中から現在御活躍の人も出ているので御存じの方も多いと思う。

あれ?オーストラリアのバンドとチルドは?そう。あまりにもマイナーすぎた。

チルドレンクーデターは「謎の少年楽団」ということで、一部で話題になったものの結局謎がとけないままアングラ世界から明るい世界へ進むことはなかった。

「へえ。なんていうバンドやってるの?」
「チルドレンクーデターっていいます」
「名前だけはきいた事があるな」
というのが当時よくかわされた会話だった。

つづく

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