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珈琲問屋をべた褒めする

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京都に住む3大理由のうちの一つ、六曜社のコーヒー及びコーヒー豆なんであるが、実は以前ほど毎度毎度買いに行くことが出来ない。家が遠くなったし、年寄りになって町に用事が無くなってきた上に、通販が便利だからついつい。
というわけで六曜社ほど美味しいコーヒー豆はこの世にないので、じゃあ許容範囲の店はどこか、と、何年も前にいろいろ探し回った。
落ち着いたのはネット通販にも力を入れている珈琲問屋という豆屋さん。
豆の品揃えも豊富だし、注文時にローストを選べる(粉にしたい人は挽き方も選べる)し、注文してからローストしてくれるので鮮度も良くて、さらにしかも発送は速い価格は安いときたもんだ。
自社サイト以外に楽天にも出店していて、それぞれのサイトは一長一短、自社サイトは注文しやすいけど決済が面倒臭い、楽天は決済は楽だけどサイトの作りが悪い、と、そのような感じ。
楽天のほうの作りの悪さはこうだ。まずコーヒー豆とグラム数を選ばねばならない。なぜかグラム数別に別商品扱いなのである。なんだそら。当然ながら、最初は間違った。100g入りの袋が10個も届いてしまったのである。もちろん割高価格。
上限500グラムの商品を選んだら、ポップアップでローストとグラインドを選ぶ。
あろうことか、このポップアップのデフォルト値が「ミディアムロースト+#14粉」という最悪な値になっていて、何かの拍子にデフォルト値に戻っていることに気づかなければそのまま注文になってしまう。
自社サイトのほうは買いやすい。豆を選んでからポップアップでグラム数を選んで「次ステップ」としてローストとグラインドを選ぶ。豆を選んだあとのクリックの時点では間違いようがないのである。これに慣れていると楽天で罠にはまる。
そういうわけで、先日ついうっかりローストとグラインドを指定せずに買い物カゴに入れてしまった。
到着した豆2kgはすべて酸味の強いミディアムローストの超細かい粉で、それを見て「や。珈琲問屋、間違えやがった」と思ったものの、なあに、間違ったのはこっちのほうだ。
卒倒しそうなほどのショックを受け、立ちすくみ嘆いた。
グラインドした豆は1日で酸化してそれ以降は飲めたものじゃなくなる。また、注文した豆はインド産の深煎り用だからして「最も深い煎り」以外では全然おいしくないのである。
たっぷり嘆き悲しんでから、駄目もとで、交換してくんないかなあとメールを書いた。
翌日、きのうなんだけど、コーヒー切れで背に腹は替えられず、浅煎り粉のまずいコーヒーを淹れ、それを飲みながら過ごしてそして午後、珈琲問屋からメールが届いた。
そのメールを読んで、少女漫画のコマのように私のまわりに光があふれ花が咲いた。
間違った注文した私に対して「いつもの注文と異なっているのに気づかなかった当店に責任があります。つきましては、いつも通りのものと交換します。ていうかもう送ったので、粉になったほうは添付の着払い伝票で送り返してください。どうぞどうぞ。なに?ひとつ開封した?いいですよ、それ、美味しくないでしょうけど飲んでください。毎度ありがとうござい」と、まあそんな感じ。
この対応どうですか皆さん。なんとう素晴らしい店であろうか。
顧客に対するこの姿勢に感動せずにはいられませんよ。では具体的に見てみましょう。
まず「いつもの注文と違うのに」「いつも通りのものをもう送った」という部分。
いつもの買い方を、ただデータ管理しているだけに留まらず、担当者がちゃんと認識していると思われる言葉ですよ。ここ重要。
次は「間違ったほうを送り返してくださいね、送料こっちもち」という部分。「交換に応じる」ということで、けして過剰で押しつけがましいサービスではない。その辺のクールさも大事。「交換します」と言う前にすでに送った、というところと着払い伝票をつけてくるあたりが過剰と思わせず「めちゃめちゃありがたいやんけーっ」と感動させる技だと思えます。商売人の鑑です。
そして「美味しくないでしょうが」です。ここは非常にポイント高いのですよ。なぜかというと、いつもインド豆をイタリアンロースト(最深煎り)で飲んでいる人が、どういう味を好みどういう味を嫌うかばっちりわかっているということだから。
そしてさらに自社製品なのに「美味しくないでしょうが」というこの言葉は、メールのやりとりすらしたことがないような一顧客の注文履歴から性格を判断し、この否定的な言葉をきちんと受け止める人格であろうと自信を持たなければ絶対に書けない文言です。
この分析力はもはや「コーヒー占い」を始められると言っても過言ではない。
というわけで、顧客に対する対応ひとつで、ここまで満足度を上げることができるのだという証明になったまことに心温まる話でございました。
珈琲問屋、皆さんにもおすすめしときます。

“珈琲問屋をべた褒めする” への2件の返信

  1. こういう事だったのですかっ。なんという心温まる素晴らしいお話でしょうか。珈琲問屋。人生の勉強になるお話です。ありがとうございました。

  2. そういうことだったんです。こんなに褒めちぎってしまいました。ひいきにしまっせ。

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