21 水没と滑稽

胸騒ぎってなに?

弟ババネンズが街にお使いに行きました。お姉さんババネンズは弟ババネンズが死ぬことをわかっていました。
「森の泉で虫の抜け殻を見たよ」「隙間の空が赤いね」「川の水量が増えている」
無邪気な会話を反芻しながら、お姉さんババネンズの胸騒ぎはおさまりません。
「あらまあ。責任を背負い込むことと世界のありようは何の因果もないんだよ」と、横丁のおばばババネンズが微笑みながら軽い毒舌を放ちます。